トップ > 書籍 > 教科書におすすめ > 入門スポーツ科学 運動指導のパラダイムシフト
書籍 > 健康・スポーツ科学系 > 運動生理学 > 入門スポーツ科学 運動指導のパラダイムシフト
入門スポーツ科学 運動指導のパラダイムシフト
著:宮下 充正
A5判・160頁・図表写真108点
2022年3月20日
ISBN:978-4-7644-1227-9
スポーツや運動を指導する本が、たくさん出版されています。多くは、実際に指導して効果があったやり方を紹介したものです。成功した方法は、スポーツを指導しようとする人にとって、とても役に立ちますが、自分たちが指導しようとしている人たちに、その方法がうまく当てはまり、効果が確実に見られるかどうかわかりません。
人には身長、体重、性別等々、様々な違いがあります。たとえば、歩くといった単純な動作、投げるといった複雑な動作にも違いが見られ、ある動作を学習する、あるいは、学習した動作の上達する速さにも個人差があります。このように、だれもが他人と違う特徴を持っている事実を理解した上で、スポーツや運動の指導に当たる必要があります。言い換えれば、成功した優れた指導者の方法を学び、自分たちの指導する対象者の特徴に当てはめるように、修正して応用する手腕が求められています。
動く人の“からだの仕組み”は、複雑で理解しにくいところが多くあります。本書では、スポーツ指導者や運動指導者が理解しやすいように、運動生理学・生化学に加えて、最近急速に発展した分子生物学や遺伝学が明かにした、身体運動にかかわる科学的成果を順序よく解説しました。特に強調したのは、遺伝学の最近の研究報告が明らかにした、体格・体力・競技力などには無視できない個人差があるという事実です。この個人差の存在を踏まえて、すべての対象者が満足する指導をしてほしいと願っています。
送料:495円〜
1章 力が強いと動きがうまいとは違う
1.野球の内野手に求められる力強さと動きのうまさ
2.スポーツ選手を支える2つの柱:体力と技術
3.スポーツ選手の体力と技術のピラミッド
2章 トレーニングと練習の目的は違う
1.トレーニングと練習を混同しない
2.体力を増強させるトレーニング
3.技術を向上させる練習
3章 運動を生み出す筋肉
1.筋肉は収縮して力を発揮する
2.筋肉の収縮様式と発揮される力
3.筋肉の増強
4.筋肉の減弱
5.筋活動とマイオカイン
4章 エネルギーを補給し続けられるから,からだは動き続けられる
1.エネルギーの通貨:ATP
2.エネルギーを補給する仕組み
3.乳酸が発生する背景と影響
4.3種類の筋線維のはたらき
5章 運動の強さの測り方
1.運動に必要なATPについての復習
2.メッツと最大酸素摂取量
3.臨界パワーという考え方
4.3つの運動の強さ
6章 高強度インターバル・トレ−ニング
1.これまで行われてきたトレーニング
2.酸素借という考え方
3.タバタ式インターバル・トレーニング
4.高強度インターバル・トレーニングは全身持久力を向上させる
5.高強度インターバル・トレーニングは健康保持に有効
7章 高所(低濃度酸素環境下)でのトレーニング
1.高所トレーニングの効果
2.低濃度酸素環境下のレジスタンス・トレーニング
3.低濃度酸素環境下の高強度インターバル・トレーニング
8章 スポーツ選手に必要な物質の摂取
1.運動のエネルギー源としての糖質と脂質
2.偏りのない食事が大切
3.からだをつくるタンパク質
4.タンパク質合成にかかわる遺伝子
9章 生れか育ちか:遺伝的要因と環境要因
1.適応・進化という考え方
2.個人差を生むのは遺伝子の塩基配列の違い
3.遺伝子型に見られる個人差
4.民族の間で遺伝子型の分布割合に違いが生じた
5.遺伝子は個人差を生むが運動能力の決め手にはならない
6.人間ではできないが遺伝的に運動能力が優れた集団の誕生
10章 トレーニングや練習の効果は,だれでも同じではない
1.優れた成績を収める背景にはたくさんの因子がかかわっている
2.同じ練習をしても効果に個人差がでる
3.同じトレーニングをしても個人差がでる
4.遺伝子型の違いがトレーニング効果へ及ぼす影響
11章 運動プログラム作成の基本
1.アメリカのチーム専属医師への提言
2.トレーニングの条件
3.コンディショニングの内容
4.オーバー・トレーニング
5.テーパリング
6.スポーツ選手に応じて運動プログラムを修正
12章 女性アスリートの3主徴
1.三角形の表示から立体的標示へ
2.新しいRED-Sの提案
3.女性アスリートの3主徴とRED-Sの関係
13章 身体運動の実践がもたらす疾病予防と健康の保持
1)歩数は,からだを動かす程度を判断する有効な指標
2)短い身体活動でも継続すれば健康改善に有効
3)高強度インターバル・トレーニングは心血管系・代謝系疾患の予防に有効
4)運動不足な日常生活は健康へ悪影響
5)身体運動は認知能力と脳のはたらきを健全に保持
6)身体運動はがんを予防し罹患後の生存率を高める
7)成人での身体運動は体重の増加を抑える
8)身体運動は死亡率と心血管系疾患を低減させる
9)身体運動は6歳以下の子どもにとって必要
10)身体運動は妊娠中および出産後の女性の健康保持に必要
11)身体運動は転倒による怪我を予防し,老化する身体機能を護る
12)身体運動は高血圧の予防と治療に効果的
13)身体運動は膝・股関節症の人に好影響
用語解説
